『問題は、「女と仕事」や「女と家庭」や「女と自立」といったようなことだけではなく、もっと根源的なこと、つまり、気を散らさなければやっていけない生活の中で、どうすれば自分自身でいること、自分であることを失わずにいられるかということ、にある。
(中略)それには、どうしたらいいのか。こうすればいい、という答えはすぐに手に入るものではない。完全な答えもない。ただ、幾つかの手がかり、そう、海辺で拾った貝のような手がかりはある。
にし貝のシンプルで、あるがままの美しさは、わたしに教えてくれる。答えのひとつ、あるいは問題を解決するための一歩は、自分の生活を簡素にして、気を散らす幾つかを切り捨てることなのだ、と。
(中略)どれだけ多くのもので、というのではなく、どれだけ少ないものでやっていけるか。わたしの生活に、またひとつ何か・・・仕事であれ、何であれ・・・を加えたくなった時に、「それはほんとうに必要なものか?」と自分に問いかけるために。』
こんな風にして、内なる静寂の海への旅は始まるのである・・・
人生は常に、難しいこと、辛いこと、喪うこと、悲しいことを次々と突きつけつづける。
そんな時には、自分のこころの海に還る時だということを知るのだ。
『わたしたちの中心にあるものから出発すれば、外側の幾重にもなった輪の周辺にあるもの、何か価値あるものを発見できるにちがいない。
その時わたしたちは、‘‘いま” ある喜びと、‘‘ここ” にある平和と、自分の内側にも外側にもある愛を取り戻すことができるだろう。
地上の楽園とは、そういったもので創られているのであるから。』
そう、海からの贈りものとは、ただ、わたしのこころのなかに、愛が息づいているのを知ることだ。人間の暮らしのどんな痛みや苦労のなかにも、決してなくなることのない愛、が。
そんなことを思い描いていると、ゆったりとした心地よさを感じるのである。まあそうはいっても、それは束の間のこころの旅!すぐにズボラ母ちゃんはガミガミ怒鳴ってしまい、内省の旅は終わりがないのであります・・・
参考文献 「海からの贈りもの」 アン・モロウ・リンドバーグ
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